2006年1月31日

ぼんご、ぼんご、ぼんご

 私が最も好きな絵本のひとつで、そこらへんを歩いている人を捉まえてキョーハクしてでも読ませたいと思うものに、「あふりかのたいこ」という作品があります。内容がすばらしいのはいうまでもないのですが、とある理由で今日探し物をしていたら、この本をダンボールの中からしばらくぶりに発見し、作者が瀬田貞二氏だったことを初めて知りました。

 瀬田氏は「指輪物語」や「ナルニア国ものがたり」の訳者として有名な方です。創作もされていたことは知っていたのですが、まさかこの絵本が氏の作とは思ってもみませんでした。「指輪物語」を読む何年も前に出会っていたなんて、なんともいえず不思議な気持ちです。

 「あふりかのたいこ」は、人に何かを伝えたいとき、とりわけそれが年少者だった場合、文章をどこまで削り落として読み手の想像力を引き出せるかが大切で、表現が幼稚すぎたり説教くさかったりしてはダメだということがよくわかる絵本です。今は入手が難しいかもしれませんが、本当に大好きな絵本なので、古本をサーチしてでも色々な人に読んでもらえるといいなぁと思います。その想いをこめて引用を――。

 めをつぶった タンボの くちから、
 ひとりでに、たいこの ことばが ながれでた。

 「じゅうを てばなせ。
  けものに まじれ。
  いのちの みずを のんで、
  いのちに めをさませ」

瀬田 貞二氏作・寺島 竜一氏画 「あふりかのたいこ」(福音館書店)より引用

1月 31, 2006 児童書 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2006年1月 7日

海賊の歌

 死人(しびと)の箱には十五人 ヨーホホー
 それからラム酒がひと瓶と

 R・L・スティーヴンソン作 「宝島」 より引用 (確か古い偕成社の翻訳版です)

 初夢の話で「パイレーツ・オブ・カリビアン」のことにふれましたが、これをDVDで観た時には、当然のごとくかの名作「宝島」をなつかしく思い出しました。本を買ってもらったのは確か小学校低学年のころで、あまりのおもしろさに買ったその日に読破してしまい、両親をあきれさせたそうです。よい物語ほどコストパフォーマンスは悪いのです。

 引用した海賊の歌は、なかでもとりわけ印象深い部分で、初めて読んだ時は怖さと好奇心で心からゾクゾクしました。死人の箱って何?棺おけのこと?15人みんな死んでるの?ラム酒ってどんなお酒だろう。なんでラム酒がひと瓶なの?そしてシビトはどうなるの?

 後年アメリカへ行った時、やたらと明るいバカルディ・ラムの広告看板を見て、心の中で長年あたためていた、ほこりと手垢にまみれた毒々しく暗い酒瓶のイメージが、ガラガラと音をたてて崩れたのは言うまでもありません。大人になるということは時につまらない場合もあるというよい例です。

 この歌、死人に“しびと”とルビがふってあったと記憶しているのですが、いかんせん当時の本が手元にないので確実ではありません。でもここは“しにん”ではなくて“しびと”じゃないと絶対イヤです。「宝島」には岩波版もあるらしく、そちらでは「亡者の箱…」となっているらしいのですが、これもちょっと好きではありません。

 どうにも気になったので、古いダンボールをガサゴソと探してみたところ……ペーパーバックの原書が出てきました(汗)。いったいいつ買ったんだろう…。ページをくってみると、件の歌は、

"Fifteen men on the dead man's chest―
Yo-ho-ho, and a bottle of rum!"

となっています。個人的に、やはり“しびと”に軍配をあげます。

1月 7, 2006 児童書, 書籍・読書, 言葉・コトバ | | コメント (0) | トラックバック (0)

2004年10月13日

紅玉が食べたい

 台風の影響があったのか、今年は紅玉がまともにお店に並んでいません。もともと供給量が少ない品種なので、普通の年でも少ないのですが、日持ちのしない種だし、台風でやられると傷物やジュース用として売ることもできなさそうです。これだけに頼っている農家はないだろうと思いますが、大丈夫なのかなぁ。
 酸っぱい系のりんごが好きなので、今年はちょっとがっかりです。

 りんごと言えば、ドイツのお菓子にアップフェルシュトルーデル(アップルシュトルーデル)というものがあり、去年の冬に食べる機会がありました。その時はめちゃくちゃおいしかった味に気を取られ、後になって思い出したのですが、これはかの「大どろぼうホッツェンプロッツ」で、カスパールのおばあさんが作ろうとしていたお菓子でした (正確に言うと「ふたたびあらわる」のほう)。子供のころ初めて読んだ時から、ずっと食べてみたくてしかたなかったのです。

 去年食べたのは、デメルというウィーン王室御用達のたいそうな老舗洋菓子店のものだったのですが、そもそもは結構庶民的なお菓子のようで、ぐぐってみるとレシピが載ってるところもありました。ジョナゴールドがあれば代用できそうです。

 でも、やっぱり紅玉食べたいなぁ。

10月 13, 2004 児童書, 料理・食物・食文化 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2004年5月 4日

ねずみアドベンチャー

今日は夫の実家におよばれして、しゃぶしゃぶを食べてきました。おいしかった。

 この世に猫ほどパーフェクトな動物はいない、と思うくらい猫好きなのですが、今住んでいるのが賃貸マンションなので猫は飼えないのです。で、ねずみを飼っているのですが、元来毛がほわほわなものに弱いたちで、「猫がだめだから仕方なくねずみにした」というわけでは決してありません。ジャンガリアンハムスター、かわいすぎ。ねずみは普通手足とシッポには毛がありませんが、ジャンガリアンは寒冷地出身なので手足にもちっちゃな毛が生えています。それがまたなんとも…くぅー。

 ねずみというと、児童小説や童話小説と言われる分野にねずみが主人公のものがけっこうあります。有名なのはアニメにもなったガンバシリーズですね。ガンバも好きですが、私が一等好きなのは「小さい勇士のものがたり」という作品です。作者はイギリスのマージェリー・シャープさん。イギリスのお国柄というのか、この国の人は子供向けの物語を書く時でも表現に手加減しません。残酷なものは残酷そのままに、恐ろしいものはきちんと恐ろしく、わかろうがわかるまいが皮肉やウィットもふんだんに取り入れます。だから大人が読んでも十分読みごたえがあるんでしょう。

 「小さい勇士のものがたり」は、邦題が「くらやみ城の冒険」に変わっていますが今でも新刊本として本屋に並んでいます。実はシリーズものなのですが、この一作目がおもしろさではダントツです(三作目までは普通におもしろく、四作目以降はちょっとおすすめできない感じ)。ちなみに原題は「The Rescuers」(救助者たち)で、やはりこっちのほうが中味のおもしろさをうまく暗示している気がします。

 そうそう、挿絵がガース・ウィリアムズさんなのもポイントです。彼の描くねずみたちのかわいいことといったら、それはもう…くぅー。

5月 4, 2004 児童書 | | コメント (2) | トラックバック (0)