けむりあな
「そういうインディアンたちには特別の儀式があったんだ。クラブハウスができて、そのことを思い出した。なにか重大な決定をするときは――バッファローの群れを追うべきか、新しい水を見つけにいくべきか、敵と闘うべきかというようなときにね――いつも地面に大きな穴を掘って、そいつを木の枝でおおうんだ。小さい穴を残して」
「け、け、けむりあな」ビルが言った。
スティーヴン・キング作 小尾芙佐訳 「IT」より引用 (文春文庫版)
暑いのはまだいいとして、ジメジメした梅雨はどうにも気持ちがふさいでしかたありません。少しはなぐさめになるかと、インセンスを焚くことにしました。ところが、家にあるのはエスニック系の甘い香りのものばかり。もうちょっとすっきりした香りのものが欲しいなぁと考えるうち、以前ネィティヴアメリカンのジュエリーを買ったお店にインセンスがあったのを思い出しました。確か松や杉のものがあったはず、とページを見てみると、インセンスはもちろん、素焼きの素朴でいい感じのバーナーもあります。お香もセットになっていたため、ついつい2個も買ってしまいました。そのうちのひとつがこれ。
※ちょっと画像いじりました
ネイティヴアメリカンが儀式を行う神聖な場所をかたどったものだそうで、キヴァというそうです。地下に穴を掘り、枝などで上に屋根を葺いてあるとのこと。そこで思い出したのが「IT」の中にある、冒頭の引用部分でした。
ものがたりの少年少女たちは、何かに導かれるようにキヴァのことを知り、ある目的のためにみずからキヴァを作って中に降り、煙で燻して幻視を見るという儀式を行うのです。「IT」の中で私が最も好きな場面のひとつなのですが、文中にキヴァという名前は出てきません。このインセンスバーナーを見て初めて名前があることを知りました。
セットになっていたインセンスはPinon(松)とCedar(杉)。両方ともちょっと甘い木の香りがします。形も独特で、普通アジアンなインセンスは線香かコーンの形をしていますが、これは幅と厚みが1cm、長さが3cmくらいの棒状です。おがくずをぎゅっと圧縮したような感じで、この時点からなんとなくデジャヴな気分…と思っていたのですが、火をつけて焚いてみて納得しました。
これは、燻製のチップにそっくりだ(笑)。
まとめて焚いたら本当に燻製ができちゃいそうな香りで、立ち上る煙もお香のようなかぼそさがなく、元気イッパイもくもく出る感じです。ヘタなところに置くと、火災報知器が鳴っちゃうかもしれません。でもとても香ばしくて、玄関がいくぶんすっきりしました。
そういえば、「IT」の中でも季節は夏、夏休みの間の出来事が書かれていましたっけ。蝉も鳴きはじめたし、梅雨もそろそろ明けそうです。
7月 22, 2007 言葉・コトバ | Permalink | コメント (2) | トラックバック (0)

